2017年 ユベントスの選手を振り返る(GK・DF編)

 

今年はユベンティーノにとってそこそこ受難の年となり、ジョンウィックのような面持ちで朝を迎えることも多々あった。

遅ればせながら、2017年のユーベの選手達を振り返ろうと思う。

 

 

 

1.ジャンルイジ・ブッフォン

ブッフォンの涙を見るのは辛い。サッカーファンには美しい涙に見えても、ユベンティーノからするとトラウマ級のものである。プレーに関しては足元を狙われるケースが多々見られたものの、それは今に始まったことではない。アッレグリマンジュキッチをサイドに置く決断を下してからはおそらくジジもロングフィードの練習を結構やっただろうと思う。実際に今季のジジのボールには明確な意思が宿っている。現在は怪我で戦列を離れているが、ピッチ内外を総合的に見ても抜群の安定感を誇ることは論を待たない。

 

 

2.ヴォイチェフ・スチェスニー

イタリア屈指のビッグクラブから正GKを掻っ攫うのはなかなか罪深いことである。しかし結果として今は誰の心にも遺恨を残さない形でいい感じに落ち着いている。昨季までとは打って変わって2番手の実力が相当なものになったので(ネトも良いキーパーではあるが)ジジの不在でもこれまで程胃を痛めずに済んでいる。未だに私はシュチェスニーのスペルを書けないが、これからも書けるようになることはないと思う。

 

 

3.ピンソーリオ

ピンソグリオなのかピンソーリオなのかわからず仕舞いで半シーズンを過ごした。正直なところこんなに優秀なキーパーがユーベにいたとは知らなかった。アウデロは若いため武者修行中なのだが、ピンソーリオはそこまで若くないためそこそこの結構上くらいには安定感がある。どうやらムードメーカーとしての役割も果たしているようで、よくジジあたりと談笑している様子がカメラに抜かれたりしている。

 

 

4.シュテファン・リヒトシュタイナー

昨シーズンあたりからリヒトは割りを食う形になっている。特に今シーズンはユーベが攻撃志向に舵を切り始めたこともあり、ことさら端に追いやられている感は否めない。年齢的な衰えも感じるがうまいことDFラインやクアドラードと呼吸を合わせて弱点には全くなっていない。我々はリヒトの待遇を良くしろと声を上げるのだが、勝負の世界はそんなに甘くないと言われれば真顔にならざるを得ない。でもリヒトにとってそれがなんらかの救いになれば、意味があることだと思う。

 

 

5.マッティア・デ シリオ

アウベスが去りボヌッチを引き抜かれた腹いせで買った匂いが漂うデシリオ。もちろん批判も多かった。一昔前は男前だったはずがここ最近はお花畑をも思わせる飄々とした顔つきをしている。それ故インテンシティの高くない試合では時々お散歩をしている様子を見かけるが、さすがに基本技術は高いレベルにあり、案外良いクロスやシュートを放ってくれたりする。ユーベにいれば、きっと大丈夫。

 

 

6.メディ・ベナティア

ユーベでレギュラーを掴むまでは代表の招集には応じないと言っていたはずなのだけど、しれっと代表入りししれっと国のヒーローになっていた。そもそもベナティアは相手の縦パスを強奪することを得意としていた印象だったがここ最近はいかんなくその強盗ぶりを発揮してくれている。ジャンプ力もそこそこありナポリと引き分けてからというもの、キエッロと共に暴力的なまでの活躍を見せている。ちなみにインスタの出現率がチームでもトップレベルで、携帯をいじりながら運転するのはくれぐれもやめていただきたい。

 

 

7.アンドレア・バルザーリ

バルザーリを語るのは難しい。それは私がバルザーリを好きすぎるからだ。まあそんな私でもバルザーリの全盛期が2.3年前に恐らく過ぎたであろうことは理解している。アッレグリバルザーリ本人も恐らく同じ考えだと思う。そんな賢明な共通理解により、今季のバルザーリはヒビ割れを完璧に補修する役割を買っている。前に出るタイミングのミスなどは少々増えたものの、出場した時の安心感といったらもうなんとやらである。

 

 

8.ダニエレ・ルガーニ

致命的な鈍足さが災いして控えの日々が続いてしまっている。とはいえクリーン過ぎるタックルなどはおっさん達に揉まれているうちに改善されてきているしセットプレーでは相当脅威になる程空中戦は強く、ルガーニの前には依然として栄光への道が続いている。今季はパンツに水筒を突っ込んだり遊園地でガールフレンドの胸を鷲掴みにしたりと野生的な一面も垣間見えた。

 

 

9.ジョルジョ・キエッリーニ

キエッロはプレー以外にあまり焦点を当てられるタイプの選手ではない。そのためあまり語られていないが、昨年はキエッロにとっても相当に堪える年であったと思う。キエッロは全く表に出さない。それが彼の強さであり弱さであると思う。プレーに関してはこれを読んでいただいている方には説明する余地が無いでしょう。愛弟子が暗黒面に堕ちてしまったため今季はオーバーヒート覚悟の奮起を見せてくれている。

 

 

10.ベネディクト・ヘーヴェデス

前から思っていたのだけど日本語で自己紹介する時は厄介だろうな。個人的に生え抜きの選手にはそこに留まっていて欲しいという願いがあるのだが、クラブとのいざこざもあったみたいでユーベに来てくれた。そんな感謝も相まって、スペ体質とはいえど焦って放出するようなことは避けていただきたい。そもそもうちの中盤にはつい数年前まで同じような体質だったドラえもんがいるわけだし徐々に快方へ向かうと信じよう。出場した1試合では期待通りの安定感を披露してくれた。

 

 

11.アレックス・サンドロ

昨季まで無双状態であったのに夏を過ぎてから鳴りを潜めている。まあプレミアのビッグクラブから次々と握手を求められれば心が乱れるのも無理はないのだが。無論選手には浮き沈みがあるもので、今季のこれまでを見ただけで放出可の烙印を押すほどフロントは幼稚ではないとは思うのだが、おそらく長く留めておくのはなかなか難しいミッションになるだろうと思う。あの何杯でも白飯が進むようなクロスをまだ見ていたいと願う。

 

 

12.クワドウォ・アサモア

昨季までチームの道化師を演じていたお調子者が今季は暴走している。好きな人でもできたのか、アッレグリに改造されたのか、何かに取り憑かれたのかは私にはわからないがサンドロの不調を埋める活躍をしているということだけは確かにわかる。もちろん全てを完璧にこなせるわけではなく守備のルーズさの改善やセンタリングの質などはもっと要求したいところではあるが、今のユーベのからくりを概ね問題なく機能させている点でもっと評価に値する選手だと思う。

 

 

 

以上、GKとDF編でした。